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リウマチの治療は、今

昭和56年、県立瀬波病院にリウマチ専門の診療科が開設されてから25年が経過し、リウマチ診療、研究、研修体制は軌道に乗りました。しかしながら、ICUや透析など高度医療への対応、重篤な患者さんへの手術や麻酔、交通手段の問題などの課題も少なからず残っていました。

平成18年11月、県立リウマチセンターとして総合病院である県立新発田病院に併設されることにより、これらの課題を克服し、更なる診療体制の充実が可能となりました。

また、新たに情報センターを設け、患者さんや家族の方々はもちろんのこと、多くの県民の皆様にもより正確な医療情報の提供が実現できました。今まで以上に親切で優しい医療を心がけ、患者さんの目線に立った診療が実現できるよう全力でまい進いたします。

院 長 中園 清

院 長 中園 清


30年前リウマチは特殊分野として治療が行われ、整形外科医が関節内注入や滑膜切除などの局所療法を鎮痛剤やステロイド剤の薬物療法とともに行っていました。抗リウマチ薬として金剤やメタルカプターゼ(D-ペニシラミン)が主流でした。手術は人工関節が膝や股関節に導入され、もっぱら治療対象は晩期の寝たきりに近いRA(関節リウマチ)患者さんに置かれていました。

その後整形外科医と内科医の連携が深まり、RAの合併症の診断と治療(肺炎、胃潰瘍やアミロイド症など)や、免疫抑制剤としてリウマトレックスを主とした多種類の薬剤使用も試みられました。リハビリテーション施設の充実などを経て、現在RA治療は患者さんのQOL(生活の質)の向上と、ケアを中心にとらえたトータルマネージメントへ移行しています。

この間リウマチ治療をめぐる情勢も大きく変わり、とくに遺伝子レベルや骨髄などの研究が進みリウマチの病因・病態の解明、生物学的製剤の導入、リウマチケアを中心にしたリウマチ治療概念の変貌、かかりつけ医とリウマチ専門病院による治療システムの将来構想、リウマチ行政の変化などが最近の話題になっています。少しこれらの状況を概説します。


リウマチ発症の病因解明に向かって

平成2年より厚生省(当時)にRAを中心にしたリウマチ調査研究事業がスタートし、国内の専門家が集結し、その病因解明に取り組みました。その結果、遺伝子レベルでのRA発症のメカニズム、ウィルスの関連、RA滑膜・骨髄におけるリウマチ病巣の解明などが進みました。これらは今後治療面へ還元され、遺伝子治療、生物学的製剤治療(抗サイトカイン療法)などの開発と発展が期待されます。


リウマチ治療概念の変遷


従来スミスのピラミッド治療体系がリウマチの薬物療法の基本概念となっていましたが、重症度に応じて、強い薬から先に使う逆ピラミッド療法や免疫抑制剤(抗ガン剤)を加えた多剤併用療法が行われるようになりました。とくにリウマチの病巣原の炎症を強力に抑制する生物学的製剤の使用はリウマチを寛解に導くのでないかと期待されています。一方、手術療法も人工関節を中心にデザイン、材料などの開発と改良が行われ、ほぼ完成されたものになっています。しかし、RA治療はこれらの医療面ばかりでなく、患者さん本人・家族・社会も巻き込んだリハビリやケアも重要視され、医療・保健・福祉の広い分野からのトータルマネージメントが求められるようになりました。

RAのトータルマネージメント

 


リウマチ治療システムの確立


リウマチかかりつけ医とリウマチ専門病院の役割・機能分担がクローズアップされ、かかりつけ医は外来患者さんのリハビリテーション、薬剤処方、在宅ケア指導、心のケアなど外来部門を分担し、リウマチ専門病院は手術、合併症、薬剤副作用、難治例など入院治療患者さんを対象とします 。このような地域医療連携はあらたな生物学的製剤の導入・維持にも期待されます。


リウマチ病診連携


リウマチ行政の変化


平成8年は、リウマチ科標榜の実現、難病や障害者対策などのリウマチ福祉対策の充実、研究面で長期慢性疾患総合研究事業(当時の厚生省)のスタート、リウマチ財団の在宅リウマチ患者ケア教室事業、公衆衛生審議会にリウマチ対策専門委員会の設置など多くのリウマチ施策が講じられ、リウマチ対策元年ととらえられています。現在これらの事業が普及し、定着しつつあります。

当院が平成18年11月に県立瀬波病院から移転・新築し、県立リウマチセンターにかわったのもこの政策医療の一環です。


リウマチ治療には限りがありません。病因が解明され、生物学的製剤が導入されたとしても、リウマチが完全に克服されたわけではありません。すべての患者さんの関節破壊が停止し、制限された生活を取り戻し、薬が必要となくなることを願いつつ、私たち現場のリウマチスタッフは今出来うる最善の方法をつくしたいと努力しています。