第50回日本関節病学会レポート 大会長挨拶

新潟県立リウマチセンター 院長 石川 肇

 

 

 

 

 

このたび、2022年10月21日(金)・22日(土)に朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターにて第50回日本関節病学会を開催しました。いまだコロナ感染が完全に収束していない中で感染対策をしっかり施したうえで、3年ぶりの現地での開催となりました。幸い晴天に恵まれ、コロナ禍前よりもやや少なめでしたが、お陰さまで約330名と全国から多くの方々に参加いただき、無事終了することができました。これもひとえに会を盛り上げていただきました皆さまのご協力、ご支援の賜物と、厚く御礼申し上げます。

地元新潟のサッカーチームであるアルビレックス新潟のJ2リーグ優勝、6年ぶりのJ1復帰で活気づいているなかで、今回、本学会を開催できたこと、とても喜ばしく感じています。

今回は第50回という節目の学会で、テーマを~50年の歴史を踏まえて~Challenge the New Normal~としました。半世紀にわたり先人が作り上げてきた歴史を踏まえて、新しい常態の中での新しい学会様式へのチャレンジと未来に目を向けた斬新な発想に基づく研究へのチャレンジという2つの意味を掛けたテーマです。プログラムのメインには、第8回と第19回の会長でおられた山本純己先生から「わが国における関節リウマチマネジメントの歩みに学ぶ」のタイトルでご講演があり、トータルマネジメントの充実とレベルアップを勧めていただきました。また、各部位における人工関節の歴史について特別シンポジウムの中でその道を究めたエキスパートの先生方からのご講演がありました。股・膝関節の人工関節はほぼ完成されていますが、肩・肘・手・手指・足関節においては、より完成度の高い人工関節が求められており、今回のシンポジウムが新しいコンセプトとデザインを持ったインプラントが開発されていくうえでのヒントになればと考えています。特別講演では、日本独自の整形リウマチ医のスタイルとその魅力について、田中栄先生と中島康晴先生からご講演がありました。欧米と異なり日本の整形外科医は、運動器疾患について伝統的に外科的治療のみならず保存的治療にも長けています。とくにリウマチ性疾患においては、関節外科医は、内科医とタッグ体制、メディカルスタッフとの連携の中でタクトを振る指揮者になることが望まれています。

一般演題は123題で、教育研修講演、シンポジウムなどの指定演題を含め、全部で59セッション226演題の口演発表(ポスター発表なし)がありました。これまでは、パソコンに向かって話をしているばかりで、味気なくお互いが疎遠になってしまいがちでした。しかし今回は、お互いに向き合って活発に討論ができるようになり、学会全体の活気を取り戻すことができたように思います。また、全体懇親会では新潟の食材、お酒(大吟醸のみ)などを参加者に楽しんでもらうことができ、この上ない幸せを感じております。

リウマチ性疾患などの全身性の運動器疾患を診断し治療していくには、ひとつの関節のみを診ていくことだけでは不十分であり、関節全体を診ていくことが必要となります。これからも本学会が幅広く関節疾患を取り上げ、若手整形外科医のみならず医療スタッフの方々にとっても魅力ある学会に発展していくことを祈念しております。

(2022年10月31日記)